『殺人出産』(村田沙耶香)_書評という名の読書感想文

小説の書評と感想
『殺人出産』村田 沙耶香 講談社文庫 2016年8月10日第一刷
殺人出産 (講談社文庫)
今から百年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」で人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日、突然変化する。表題作他三篇。(講談社文庫)
「・・・・ あなたが信じる世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じている人間を許すしかないわ」
主人公は、育子。育子の姉・環(たまき)は、強い殺人願望を持つ女性で、殺人出産制度を肯定し、若くして「産み人」となります。そして、育子の同僚の早紀子。彼女はルドベキア会の会員で、殺人出産制度を強く否定しています。
初潮と共に子宮に避妊器具を埋め込み、妊娠しなくさせてしまう。恋愛や結婚と子供を造ることとは別で、子供が欲しいと思えば人工授精によるか、さもなければ「産み人」が産んだ子供をもらってわが子として育てる。
一番重いのは「死刑」でなく「産刑」で、産刑を言い渡されると、牢屋で一生子供を産み続けなければなりません。女は病院で埋め込んだ避妊器具を外され、男は人工子宮を埋め込まれることになります。(罪人は例外なく出産を強いられるということ)
「10人産んだら、1人殺せる」-「殺人出産制度」は、その時代(今から100年後の日本)にあって、命を生み出す制度 - 人口の極端な減少に歯止めをかけ、かつ必然的に人口の増加を図るシステム - として最も合理的なものであったのです。
殺人出産制度が導入されたこ

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