『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』

書評総合



平安京はいらなかった
古代の夢を喰らう中世 (歴史文化ライブラリー)

作者:桃崎 有一郎
出版社:吉川弘文館
発売日:2016-11-21











冒頭、著者は「日本という国に、あのような平安京などいらなかった」と喝破する。「平安京は最初から無用の長物であり、その欠点は時とともに目立つばかりであった」と。「では、なぜ不要な平安京が造られ、なぜ1000年以上も存続したのか」と著者は畳み掛ける。そう挑発されたら、後はもう読むしかないではないか。とても刺激的な1冊だった。
日本は、大唐世界帝国の脅威に直面して立国した国である。白村江の戦いに敗れた倭は、明治時代の鹿鳴館政策と同じように、国をあげて背伸びをし、唐と同じ胡服に身を包んで律令国家を目指していく。日本という国号、天皇という称号、日本書紀という国書、全てが唐に対峙する目的で整備されたといわれている。藤原京、平城京、平安京と続く都も決してその例外ではない。
豪族たちを根拠地から切り離して京に集住させ中央集権体制を速やかに固める必要性にも迫られてはいたが、何よりも、平安京は日本の天皇の威信を物体化させたものであり、いわば威信財だった。例えば、朱雀大路は外国使節が通行し(皮肉にも渤海使以外は来朝しなかったが)、大嘗会など祭礼がおこなわれる舞台として整備されたのだ。理念優先で国力に比し大きすぎた平安京は、結局、未完成のまま造営が投げ出されることになる。
威信財であれば、実用性は当然二の次となる。藤原京、平城京、平安京のサイズにそれ

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