「橋をかける人」

小説の書評と感想
◆2017年1月21日
「橋をかける人」(KADOKAWA)
門井慶喜
ウィリアム・メレル・ヴォーリズは1905年、滋賀県立商業学校の英語教師として来日。
海外伝道者としてキリスト教伝道に力を注ぐかたわら建築事務所を設立、日本各地の西洋風建築を手がけます。
また、近江兄弟社を設立してメンソレータムを販売したりと、実業家としての面も。
本作は、彼の来日後の半生を描いています。
キリスト教伝道と商売、それに福祉や医療、教育。ヴォーリズの多面的な活動は、彼の立場によるところが大きいようです。
彼は元々、米国YMCAの仲介により派遣された民間人で、牧師より一般信徒に近い立場。彼の残した事跡には、キリスト教に裏打ちされたと思われるものが目立ちます。
とくに日本が軍国化に進む時期、彼は「自分は何者か」を問い続ける日々だったのではないでしょうか。
「建築の仕事をしているが、専門家ではない。伝道者ではあるが牧師ではなく、洗礼を授ける資格もない。そして日本人と結婚し日本国籍も取ったが、周囲も自分自身も真の日本人とは見ていない」
やがて第二次世界大戦が開戦。日本に帰化し「一柳米来留(ひとつやなぎめれる)」となっても、米国生まれである彼の微妙な立ち位置は変わらず。英語が敵性語とされ、ヴォーリズの事務所にも御真影が強制されます。妻である満喜子が華族出身ということで、辛うじて難を免れることもあったかも知れません。
そんな彼が、終戦後日本に赴任した総司令官マッカーサーと近衛文麿との仲介を行います。後年「天皇を守った日本人」と言われるゆえんです。
彼がこの考えに至る道筋は、本書では軽井沢で玉音放送を聴い

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