117 戦艦武蔵 吉村昭

小説の書評と感想
戦艦武蔵 (新潮文庫) [文庫]吉村 昭新潮社2009-11すごく痛い話。淡々と文章が続くので、描写の痛さが刺さります。泣くに泣けない、痛くて辛くて、悲しい話です。そこに生きた人たちは、前を向いていて、一生懸命で、プライドがあったのだと思いました。あとがきや、解説もぜひ読んでください。本当のラスト1行までが、この作品だと思います。戦艦大和というものは、映画にもなったし、知っている人も多いと思うんです。その同型艦、武蔵の一生がつづられています。私は知りませんでした。建造に関わった人たちと、操って戦争に繰り出す人たち。命を吹き込む人たちと、その命に守られながらも操り、散って行った人たち。戦時下なので、情報も資源となる。武蔵の建造は、身辺調査と誓約書に縛られた人たちによって行われます。規格外の戦艦をつくるということは、作る場所も、装置も、そのために改良されたり、新たに作られること。民間法人の一社員の方々が、文字通り命を懸けて、長期間にわたって作り上げられました。それが、航空機の援護のない海上戦で空襲を受け、亡くなっていきます。武蔵の亡くなり方も痛いのですが、中にいた人たち、降りた後の人たちの処遇や最期も、とにかく痛いのです。この話の中ではありませんが、終戦時期の政治家たちが、笑いも交えながら、出来もしないことを決定していた、というテレビ番組を思い出しました。やりきれないですよね、本当に。

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