『組長の娘 ヤクザの家に生まれて』リアルな昭和ヤクザの「証言者」 文庫解説 by 宮崎 学

書評総合



組長の娘: ヤクザの家に生まれて (新潮文庫)

作者:廣末 登
出版社:新潮社
発売日:2016-10-28











あの人は、ヤクザの組長の娘だ――そう言われた場合、読者の皆さんは、どのようなイメージを持たれるだろうか。
ヤクザといっても、地域性も組の規模もシノギもさまざまであり、子分が何千人でも、あるいは数人でも、「組長」は「組長」である。
だから、その「娘」の人生も、千差万別である。父親の属する組織とそこでのポジション、あるいは家族への態度などに左右されるからだ。
本書は、その「組長の娘」の一人である中川茂代さん(仮名)が「主人公」である。
語られる内容は、多くの読者のイメージに近い「組長の娘」の姿ではないかと思う。シビアな話も多いのだが、「コテコテの大阪弁」がそれを笑える話にしてもいる。
一方で、中川さんが生まれ育った昭和の時代と現在のヤクザの事情はかなり変わってきている。
とりわけヤクザが減少傾向にあることは大きな変化だろう。
警察庁によると、2015年末現在で「暴力団」構成員の数は46,900人、前年比マイナス6,600人と、6年連続で減少している。暴力団排除条例の効果もあるが、関係者によれば少子化や今どきの若者の「草食化」のほうが主な理由のようだ。
たしかに私もヤクザの減少を体感してはいるが、警察の統計には注意が必要である。毎年発表している『暴力団情勢』は、暴対法上の指定を受けた「暴力団」についてだけの数値であるからだ。すなわちヤクザは警察から「暴力

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