『人類の進化が病を生んだ』 訳者あとがき

書評総合



人類の進化が病を生んだ

作者:ジェレミー・テイラー 翻訳:小谷野 昭子
出版社:河出書房新社
発売日:2018-01-19











ランドルフ・M・ネシーとジョージ・C・ウィリアムズ著のWhy We Get Sick は、ダーウィン医学(進化医学)の概念をはじめて一般向けに紹介した本として一九九四年にアメリカで出版された。日本でも、長谷川眞理子、長谷川寿一、青木千里の翻訳により『病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解』として2001年に新曜社から出され、ロングセラーとなっている。
ネシーとウィリアムズが開いた扉は人々の関心を呼び、進化医学をテーマにしたポピュラーサイエンス書は一つのサブジャンルになるほど成長した。それ自体は喜ばしいことではあるのだが、一般受けを狙うあまり、人体がいかにできそこないの産物であるかを面白おかしく強調したり、現代病は人類進化と生活習慣のミスマッチから生じているのだから狩猟採集時代のような暮らしに回帰すべきだと意見したりするような、進化医学による見方を単に消費するだけの本が増えているのもまた事実だ。
そんななか、病気を理解し治療法を見つけるためには既存の視野を少し広げて進化の観点からも考えてみることが大事だという、ネシーとウィリアムズの本来の問題提起に立ち返り、その後の四半世紀に新たに見出された医学知見や先駆的な治療法を紹介しようと試みたのがこの本だ。本書には、そうした治療法のいわば実験台となることを自ら志願した患者たちの話も織り込まれている。

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