「一路(上・下)」浅田次郎

【私の評価】★★★★★(90点)
■江戸末期、実家の火事で父を亡くし、
父の跡を継いで江戸への参勤交代を
指揮することとなった一路さんの物語です。
実家の出火は家の断絶にも相当する過失。
もしも参勤交代で不手際があれば
お家断絶、と追い詰められます。
一路は突然の訃報で引継ぎもない中、
家宝の古い参勤交代のマニュアルをもとに
参勤道中を行うことにしました。
古式にのっとった参勤交代は、
ゆったりした道中ではなく
戦へ行軍するようなものでした。
・御殿様はふと考えた。
二百数十年の時の間に、
おろそかにしてはならぬものばかりが消え、
どうでもよいことばかりが
残っておるのではあるまいか、と(上p125)
■12月の中山道は雪や山越えあり、
御姫様との出会いがあり、
御殿様の後見人の陰謀あり。
もともと実家の火事も
お家を乗っ取りを謀る勢力の
陰謀だったのです。
そうした陰謀を知ってか
80名の家来は一路の指揮のもとに
まとまって行軍していくのでした。
・家来の働きぶりについて軽々に
評価をしてはならぬ。
声にして褒めれば権威となり、
貶めれば必ず罰が下される。
御殿様の発言とは
そうしたものであった(下p12)
■浅田次郎さんらしく
ユーモアあふれ笑える一冊でした。
映画やテレビにぴったりだなあと
思っていたらドラマ化されて
いるようですね。
浅田さん、
良い本をありがとうございました。
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■この本で私が共感したところは次
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