『イントゥ・ザ・プラネット』

書評総合


イントゥ・ザ・プラネット
作者: ジル・ハイナース
出版社: 新潮社
発売日: 2022/1/14

本書は洞窟ダイバーで水中探検家、作家、写真家、映画監督であるジル・ハイナースの生涯を描いた一冊である。

1965年、カナダのトロントで生まれたジルは、幼少期から探検が好きだったという。彼女の記憶に鮮烈に残るのは、家族旅行で出かけたコテージでのできごとだ。二歳だった彼女は、コテージ前の桟橋から足を滑らせ、湖に落ちてしまう。水中に落ちたジルは、本能的に呼吸を止めて、そして湖に浮かんでいたそうだ。目の前にある透明な美しい世界。魅惑的な色。緩やかな波の動きが彼女に永遠に消えない記憶を残した。しかし、その世界は突然絶たれることになる。大慌てで助けに来た母に抱きかかえられ、水中から助け出されたのだ。

その後もジルは、水に対する恐怖心を抱くことなく成長していった。通っていたスイミングのクラスでは、泳ぐことよりも水中を見つめること、潜ることに興味を抱いていた。誰よりも水が好きだったのに、スイミングのインストラクターからは、水泳に向いていないと指摘されてしまう。その理由は、常に顔を水につけているからで、インストラクターはジルに体を起こす力がないと考えたのだ。しかし実のところジルは、顔を水面につけてプールの床のタイルや濾過フィルターを見つめていたのだ。そのエピソードが、なんとも彼女らしい。

大柄で運動神経が良く、学業成績も優秀だったが、目立つ存在だっただけに、クラスメイトからのいじめを経験することになる。「大きな女の子」として認識されていたジルは、幼い頃すでに、

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