『封を切ると』(書肆山田) – 著者: 多田 智満子 – 種村 季弘による書評

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『封を切ると』(書肆山田)著者:多田 智満子
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長い旅から帰ってきて詩人は安らいだ病床にある。
柩(ひつぎ)のなかにあるように/枕に頭を沈めていると/眠ってはまたふっとめざめる
眠りとめざめのみぎわ。昼と夜のまじわるたそがれ。白黒の碁石ならべ。相反する対立項が諧謔(かいぎゃく)を通じてめまぐるしく通じ合い、時間も過去現在未来が自在に融通し合う。
あさってから手紙がくるよ/あしたのことが書いてある
あれはあした あれはきのう/あたまくらくら
端正な文体によるサン・ジョン・ペルスやユルスナールの翻訳紹介者であり、鏡についての明晰(めいせき)なエッセイストとして知られた詩人多田智満子は、同時に文字摺(ず)りやわらべうたの柔らかくおさない言葉遊びをも楽しみ、楽しませてくれた。そこから老いは若さ、紅葉は青葉の諧謔がごく自然にほとばしり出る。あげくは新作能『乙女山姥(おとめやまうば)』が、くり返し脱皮して乙女に若返る山姥の転身の秘法を打ち明ける。昨年永眠した詩人多田智満子遺作集。【初出メディア】朝日新聞 2004年3月21日朝日新聞デジタルは朝日新聞のニュースサイトです。政治、経済、社会、国際、スポーツ、カルチャー、サイエンスなどの速報ニュースに加え、教育、医療、環境、ファッション、車などの話題や写真も。2012年にアサヒ・コムからブランド名を変更しました。http://www.asahi.com/
Source: allreeviws

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