『批評時空間』(新潮社) – 著者: 佐々木 敦 – 栗原 裕一郎による書評

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『批評時空間』(新潮社)著者:佐々木 敦
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批評の可能性を更新すること、および実現できることへの確信
佐々木敦の「批評家」という肩書きには強固な意志が存在している。その意志を支えているものは、批評の可能性を更新すること、およびそれを実現できることへの確信である(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆年は2013年)。
「世界」と「人間」との相関を増幅すること。批評の使命とはこれである。そうでなくてはならない。
どうして今「批評」にそこまでの信頼を置けるのかと時折訝しく思ったりもするのだが、佐々木は超人的なバイタリティで休みなく「増幅」のための営為を続けている。本書は「増幅」を、同時代的な広がりにおいて追求した試みといえるか。脱あるいは超ジャンル的に「偶然でしかない組み合わせ」で作品を複数並べて(一作品の場合もあり)時評していくのが基本フォームだ。対象ジャンルは、映画、演劇、音楽、写真となり、この順に言及が多い。文芸誌が初出なのに文学は除外されている。その文芸誌は『新潮』で、二〇一一年一月号から二〇一二年五月号まで連載された。単行本化に際し「批評について――あとがきにかえて――」が書き下ろされている。また刊行後、同誌二〇一二年十二月号に「特別篇」が掲載された。時評であるから当然なのだが、著者がそのとき遭遇したばかりの作品が毎回選ばれている。著者のツイッターを見ていると毎日のように何かに足を運んでおり近年は(演劇が多い印象)、その忙しさに圧倒される。憑かれたかのような量の活動の蓄積が著者の批評の厚い基盤となっていることはいうまで

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