『マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統―』(名古屋大学出版会) – 著者: J・G・A・ポーコック – 犬塚 元による書評

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『マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統―』(名古屋大学出版会)著者:J・G・A・ポーコック
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共和主義をめぐる研究・論争の中心となる記念碑的著作
記念碑的著作の記念碑的翻訳である。政治理論や思想史の分野では、自由主義に代わる選択肢として共和主義に関心が寄せられてきたが、本書は、1975年の公刊以来、共和主義をめぐる研究・論争の中心にある。共和主義とは、共和国、つまり王のいない国家をめざす政治思想ではないのか。単純明快に定義できるはずの共和主義は、しかし本書の影響ゆえ、「シヴィック・ヒューマニズム」や「マキァヴェリアン・モーメント」という、いささか秘教的な響きの専門用語とともに語られてきた。このうち「シヴィック・ヒューマニズム」とは、もともとはルネサンス人文主義の一変種、すなわち古代ギリシア・ローマの文献研究を重視する立場の、一変種のことである。「シヴィック」という形容が付くのは、それが、書斎にひきこもるのでなく、古代の政治思想を手掛かりに積極的に政治参加すべきことを説くからである。本書は、こうした「シヴィック・ヒューマニズム」と共和主義を等置し、ヨーロッパ文化圏における共和主義の思想史を跡づけていく。厄介なのは、「マキァヴェリアン・モーメント」である。見落とされがちではあるが、本書に一貫するのは、ヨーロッパにおける時間意識の変容というテーマであり、さらには時間の政治学という分析の視座である。そして、ポーコックが描きだす共和主義は、変転する不安定な人間世界の時間の経過のなかで、安定的・持続

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