『まど・みちお全詩集<新訂版>』(理論社) – 著者: まど・みちお – 俵 万智による書評

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『まど・みちお全詩集<新訂版>』(理論社)著者:まど・みちお
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実は全詩集を手にとる前から、この文章の書き出しはこう、と決めていた。「まど・みちお、という名前に出会うより、ずっとずっと前に、私は『ぞうさん』に出会っていた。」そうしたら全詩集の編集をされた伊藤英治さんが、後記にまったく同じことを書かれていたので、びっくりした。きっと日本中に、同じような記憶を、心になつかしく持っている人がいるのだろう。あれはまだ、幼稚園に入る前のことだった。ある日母が、バスタオルを買ってきてくれた。かわいい象の親子の絵が描かれている。「ぞうさん」の歌が、大好きだった私は大喜び。体を拭くために使うことは断固拒否して、私はそのバスタオルと一緒に寝ることにした。正確には、バスタオルのなかに住んでいるぞうさんと一緒に。
  ぞうさん  ぞうさん  おはなが ながいのね  そうよかあさんも ながいのよ
何度この歌を歌ったことだろう。「そうよ」のところで、ときどき音程をはずしてしまう私の歌を、両親も飽きずに(いや、ほんとうは飽きていたのかもしれないけれど、とりあえずニコニコして)聞いてくれた。父のために、「とうさんバージョン」を勝手に作ったりもした。つまり、かあさんをとうさんに替えるのである。このバスタオルのことを私は「ぞうさんのまくら」と呼んでいた。まくら、といっても、頭の下に置くのではなく、抱いて寝るのだけれど。そしてなんと、小学四年生まで、「ぞ

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