『龍馬暗殺』(吉川弘文館) – 著者: 桐野 作人 – 中村 武生による書評

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『龍馬暗殺』(吉川弘文館)著者:桐野 作人
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「薩摩黒幕説」を一刀両断
坂本龍馬を殺したのは誰か、という問題設定は歴史ファンにはたまらないらしい。ましてや通説の京都見廻組による「犯行」ではなく、味方であるはずの薩摩島津家が黒幕にいるとなるとなおさらのようだ。本書はそのような方の思いを破壊する、きわめて実証的な良書である。一般に龍馬は大政奉還実現の功労者とされる。そのため徳川将軍を討ちたい島津家にとって、無血革命を実現させた龍馬の存在は迷惑である。だから龍馬の潜伏地である近江屋新助方を見廻組に伝え、殺させたという。この分かりやすい話には多くの非事実がある。たとえば大政奉還の2日後、慶応3年10月16日(1867年11月11日)付の大久保利通宛、岩倉具視書翰に以下の記載がある。「会津侯松平容保の家臣は狂ったように怒り、どうしても薩摩屋敷を討つなどと申しているそうです。すべては西郷隆盛・小松帯刀・大久保利通がいるからです。土佐(山内家)も、安芸(広島浅野家)も同様で、これらを殺すべしと種々議論があるようです。だから明日すみやかに帰国なさった方がよい」(要約)。これをうけて翌日3人は京を発(た)った。つまり大政奉還により失脚しかねない京都守護職会津が、その関係者としてうらみ、一番に命を狙ったのが西郷らだったとわかる。薩摩は大政奉還反対側ではない。推進側なのである。西郷らが離京したため、龍馬が狙われるおそれがあった。同月17日夜、薩摩二本松屋敷の留守居役、吉井友実は龍馬に使者を送り、徳川家の役人があなたを探している、四条先斗町あたり(ただ

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