『死にたいのに死ねないので本を読む: 絶望するあなたのための読書案内』(草思社) – 著者: 吉田 隼人 – 吉田 隼人による書評

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『死にたいのに死ねないので本を読む: 絶望するあなたのための読書案内』(草思社)著者:吉田 隼人
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学校生活に馴染めず、「どこか別な世界へ逃げ出したい」「一刻も早く死ぬほかに解決策はない」と死に囚われていた十六歳の高校生は、憑かれたように一冊の本に読み耽っていた――。角川短歌賞・現代歌人協会賞受賞の歌人・研究者が、古今東西の名著のエッセンスを、読書時の記憶を回想するとともに紹介するエッセイ集から、自殺未遂の経験を描いた一篇をご紹介します。 
十六歳の高校生に自殺未遂を犯させた一冊とは?
新進気鋭、才気煥発、といった感じのまだ若いフランス人哲学者に、指導教授が(もちろんフランス語で)ぼくをこんなふうに紹介した。「タンカという、日本の伝統的な詩があって、彼はその分野で若くして大変に重要な賞を獲得した学生なんだ……」。ハイカイ、という名前で第一次大戦後ぐらいからフランスでも幅広い知名度を獲得した俳句と違って、短歌というのは決して国際的に通用する用語ではないらしく、その哲学者は困ったような顔でぼくに言った。「ポエット? あなたはポエットなのですか?」 短歌を作ってはいても詩心とは程遠く、「現代詩手帖」に連載を持っていながらその実、現代詩の世界にはまったく蒙(くら)いぼくが初めて出会った「ポエット」は、御多分に漏れずというかなんというか、シャルル・ボードレールであった。しかしぼくはボードレールの名前を最初から「ポエット」の名前として了解していたわけではない。 あれはたしか中学一年生

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