『本についての詩集』(みすず書房) – 著者: 弘, 長田 – 豊崎 由美による書評

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『本についての詩集』(みすず書房)著者:弘, 長田
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詩人は言葉について深い想いを巡らせている人たちだから、長田弘さんから「本を読もう。/もっと本を読もう。/もっともっと本を読もう」なんて言われると、勇ましい気持ちで武者震いしたくなる。「本でないものはない。/世界というのは開かれた本で、/その本は見えない言葉で書かれている」なんて言われると、頼もしい気持ちで胸がふくれ上がってくる。九十二人、九十二編の詩が収められているこの詞華集は、選者の長田さんによれば「本に就いての詩集であり、本に蹤いての詩集であり、本に着いての詩集であり、本に憑いての詩集であり、本に即いての詩集」だ。金子光晴が徴兵を控えた我が子の寝姿の前でアリストファネスを読み、谷川俊太郎がクンデラの本のカバーの裏に走り書きをし、中勘助がスピノザを讃え、飯島耕一がパウル・ツェランを通して母語で傷を負うことについて語り、小池昌代は古本屋で献辞が記されていたであろうページが破かれたディキンソン詩集を手に取り、松浦寿輝はパリ国立図書館でまだ出会えぬ「あなた」に辿り着くことを渇望し、山村暮鳥は「涯のない蒼空」を見上げ老子に親しく呼びかける。そして、わたしは鮎川信夫の詩を読んで、そこに出てくるデルモア・シュウォーツの短編小説を、本棚の奥から引っぱり出してきて再読している。長田さんが書いているように、「本を読むというのは、『私』が本を読むのではなく、ほんとうは、本に『私』が読まれることです。本は、言葉でできている鏡だから」なのだろう。本に読まれた「私」について書かれた詩を読む自分もまた

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