『河原ノ者・非人・秀吉』(山川出版社) – 著者: 服部 英雄 – 五味 文彦による書評

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『河原ノ者・非人・秀吉』(山川出版社)著者:服部 英雄
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中世の地名研究から解き明かした「秀吉」の謎
本の帯には、「非人の世界に身を置きながら 関白にまで昇りつめた秀吉」「あらゆる史料を熟読し、秀頼は秀吉の実の子ではないことを立証した」という決め文句が踊る。 ただそれにばかり目を奪われ、本書を評価するのはおそらく間違いであろう。その部分だけとりだせば、かなり際物のように思うかもしれない。 しかし七百ページをこえる大部の書の主要な部分は、秀吉を扱った第二部「豊臣秀吉」ではなく、圧倒的量を占める第一部の「河原ノ者・非人」である。それがあってこその秀吉論となっていることには注意しなければならない。『地名の歴史学』(角川叢書)の著書からもわかるように、著者は地名を手がかりに差別された人々の動きを、中世に遡って探ってゆく。実はこれまでそうした方法には多くの困難があった。被差別地名ということで、しばしば古地図からも抹殺されるようなことが行なわれてきたからである。 だが最近は、差別された地域はむしろその差別を克服する力があったものとして隠すのではなく、独自の文化を築いた土地として誇りをもつようになってきた。そうであれば地域の特性が明瞭に生まれてきたのが中世であるから、差別のあり方を中世にまで遡って探る意味は大きくなってきた。 そこで著者は史料が豊富にある大和北山宿に始まって、各地の療病寺や悲田院などの地名を手がかりにして差別の構造を明らかにしてゆく。そのなかで中世の被差別者を次の三つに分類する。それは(1)河原ノ者、(2)非人、(3)声聞師(

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