『新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安』(講談社) – 著者: 池波 正太郎 – 尾崎 秀樹による書評

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『新装版・殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安』(講談社)著者:池波 正太郎
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人間味あふれる非情な殺し屋
司馬遼太郎が次第に歴史づいていったあと、大衆時代小説のうまみを与えてくれるのは池波正太郎と早乙女貢くらいなものだ。それだけに彼らの存在は貴重である。とくに池波の場合は、江戸の市井人の体臭をつかんでおり、それが最近の諸作には無理なく生きている感じだ(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1973年)。「鬼平犯科帳」から「仕掛人・藤枝梅安」にいたる過程で、彼は自分の持ち味をさりげなく出す方法を身につけたようだ。それ以前と以後とでは、まるで違う。つまりうまくなったのだ。「鬼平犯科帳」の長谷川平蔵は、仕事の鬼でありながら日常生活は実にものわかりがいい。「仕掛人・藤枝梅安」の梅安も、非情な商売に従いながら、生活をたのしむような側面がみられる。「おれの足音」の大石内蔵助にも、苦労人としての人間味が彫りこまれていたし、「剣客商売」にも、人世を味わいながらも剣客としての骨を失わない秋山小兵衛という人物が登場する。いずれも技にぬきんで、きびしい仕事や目的を持ちながら、他の面では人生の達人である点で共通しているが、それもあるいは作者の“漢(おとこ)”としての理想像かもしれない。「殺しの四人」は〈仕掛人・藤枝梅安〉シリーズの第一冊である。梅安は表向きは鍼医者で、近所の人々から名医としたわれているが実は殺しを専業とする仕掛人だ。仕掛人の仕事は、顔役の依頼によって金をもらい、人を殺す。金を受けとった以上、目的をはたすことだ

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