『精神医学は対人関係論である』(みすず書房) – 著者: H・S・サリヴァン – 吉本 隆明による書評

書評総合

『精神医学は対人関係論である』(みすず書房)著者:H・S・サリヴァン
Amazon |
honto |
その他の書店
この本を読んで確実にどんな読者も得をすることがある。それはいままで分裂病についてもっていた読者の概念に確実に何かを加えられるからだ。加えられた知見が妥当かどうか、有効かどうかは、そのあとで問題にすればよい。不可解な、雲をつかむような分裂病の概念が、いままでよりもはっきりした像を結ぶようになる。それをまずはじめにアレンジして列挙してみる。わたしはそれだけでもこの本から感銘をうけたといっていい。(1)分裂病の過程(症状、患者の言動、考え方のパターン、紡ぎだすおおくは常同的な物語など)というのは、正常ならば二歳半から後は、意識のなかにはっきり入れておくことをやめてしまうはずの考え方や挙動のパターンを、他人に伝達しようとする試みにあたっている。(2)強烈な不安や不気味さが生の愉しい状態に不意に立ち入ってこないように「自己組織」のなかに防禦の機構がつくられるが、この防禦が強迫的代理行為によって遂行され、この行為が、不充分な不適切な対人関係の過程になっているとき、それは分裂病である。(3)分裂病過程は、治癒せずに昂進するばあいは、ふたつの方向をとる。ひとつは人格内の非難や罪悪感の要素を、周囲の人に貼りつける妄想性の順応不全。もうひとつは分裂病過程の不安、恐怖に、人格を解体させることで対応しようとする破瓜型の荒廃。一見何でもないような知見にみえるが、分裂病についてこれだけのことを言いきったのはこの本の著者サリヴァンがはじめてだし、とくにこんな言い方がされているのはこの本が

リンク元

コメント

タイトルとURLをコピーしました