小島 庸平『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』(中央公論新社)、中川 右介『プロ野球「経営」全史』(日本実業出版社) – 鹿島 茂による読書日記

書評総合
サラ金とプロ野球経営
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一九九六年の晩秋、山形で講演を終え、プラットホームから駅前広場を眺めていた私は、一階から四階までサラリーマン金融の看板で埋まった雑居ビルに目を止め、思わず叫んだ。「なんだ、このビルの全部のサラ金から金を借りている!」。 ことほどさようにもの書き業界でサラ金に最もお世話になった一人なので、小島庸平『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』(中公新書 九八〇円+税)は格別の興味で読み進めることができたが、まず驚いたのはサラ金の起源である。「サラ金の源流は、顔見知りの間で行われる個人間金融にあった」。サラ金は質屋や高利貸から派生したのではなく会社の個人貸借から生まれてきたというのだが、にわかに思い出したのはバルザック『役人の生理学』の次の一節。「しばしば、この役人(高利貸)のところへほかの役人がやってきて、中庭にいっしょに降りていく。そこでは、もっぱら聞く側に回り、自分はほとんどしゃべらない。やがて相手が紙切れのようなものを差しだすと、それを冷たい無感動の目で見つめ、しばらくするとなにくわぬ顔で席に戻ってきて、また仕事を続ける」(拙訳)。原則、担保を取らないサラ金が可能になったのは、じつは質草の代わりに社(省)内人脈という逃れられない人間関係を与信の源泉としたからなのである。一九五一年に神戸製鋼に入社した森田国七もそうした一人で、上司の許可を得て社内金融を始めて、退社後に金融業「森田商事」を起こし、団地金融を始める。同じ時期、貿易会社社員の田辺信夫は倹約貯蓄した金で社内金融を始め、一九六〇年から団地の主婦を対象とした団地金融を開始す

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