【ノワール作家ガイド】ジェイムズ・エルロイ『ビッグ・ノーウェア』(文藝春秋)、『LAコンフィデンシャル』(同左)、『ホワイト・ジャズ』(同左)ほか – 霜月 蒼による作家論/作家紹介

書評総合
ジェイムズ・エルロイ
一九四八年、ロサンジェルス生まれ。一〇歳のときに、何者かに母親を殺害される。少年時代から二〇代にかけて、窃盗、不法侵入などを繰り返し、酒や薬物に溺れ、浮浪者同然の生活を送る。更生しはじめてからは職を転々としつつ、作家を目指す。処女長篇は私立探偵小説『レクイエム』。好評を得たエルロイは、やがてLAの刑事ホプキンズを主人公とする『血まみれの月』にはじまる三部作を上梓、四〇年代のLAを舞台とした長篇『ブラック・ダリア』で声価を高める。この作品にはじまる<暗黒のLA四部作>は現代暗黒小説界の金字塔とされる。現在は、新たなシリーズ、<アンダーワールドUSA三部作>によって、アメリカ現代史のノワール的語り直しを試みている。ジェイムズ・エルロイについて語られるときに必ず持ち出されるのが、「情念」とか「妄執」といった単語だ。むろん、これはエルロイ作品を満たしている暗く暴力的な空気の源泉であるし、また破滅的な登場人物たちを動かすモチヴェーションでもある。この独特の熱病じみたヴァイブは、処女作『レクイエム』から最新長篇『アメリカン・タブロイド』までの全作で脈打っている。この「情念/妄執」はいったい何なのか。これこそがエルロイの核心なのだ。この異様な「情念」こそが。エルロイがアメリカのノワール/ハードボイルドを乱読し、フィルム・ノワールや犯罪実話雑誌やハリウッドのスキャンダル雑誌に狂っていたことはよく知られている。その内的世界は「犯罪を語るテキスト」によって形成されていると言ってもいいだろう。こうした「犯罪」への嗜好は、実母がレイプともとれる行きずりの性交のあとで殺害された直後

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