『洋菓子はじめて物語』(平凡社) – 著者: 吉田 菊次郎 – 永江 朗による書評

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『洋菓子はじめて物語』(平凡社)著者:吉田 菊次郎
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高級洋菓子ブームの秘密
高級洋菓子がブームである。有名職人のいる店は大にぎわいだ。一方で激安ファストフード店も大繁盛なんだから、どういうこと?高級洋菓子は椅子である、というのが私の仮説だ。昨今、椅子ブームである。それもウェグナーやアアルトなど有名デザイナーや有名建築家のものが人気だ。椅子は小さな建築である。有名建築家に自邸の設計を依頼するのは難しくても、椅子なら手が届く。高級洋菓子ブームもそれと同じで、高級フランス料理店でディナーをというのは無理でも、ケーキやタルトだったらなんとかなる。というわけで『洋菓子はじめて物語』。著者の吉田菊次郎は東京・渋谷のフランス菓子店、ブールミッシュの店主で、メディアにもよく登場する人。チーズケーキに始まり、プリン、タルト、シュークリームなど、洋菓子の来歴を種類別に語る。「はじめて物語」というように、その菓子がどのように誕生し、日本に伝えられたのかが主題だ。たとえば、はじめてプリンを作ったのはイギリスの船乗りだった。食材も器具も台所も限られた船内で、あり合わせの材料をナプキンで包んで蒸し焼きにしたのがその起源とか。やがて陸に上がり、溶液のみ固まらせ、カラメルソースをからませて今日のカスタード・プディングになった。洋菓子の誕生と発展には、外交や政治、科学技術が深くつながっている。チョコレートはヨーロッパ人の中米侵略によってもたらされ、アイスクリームは冷却や冷凍の技術があってこそ可能になった。ムースの流行の背景には、ミッテラン政権の時短政策があった

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