清水唯一朗『原敬』(中公新書) 8点

書評総合
 今年で没後100年を迎えた原敬の評伝。日本初の本格的な政党内閣を組織し、日本の議会政治を大きく前に進めた人物ですが、板垣退助や尾崎行雄のように議会政治の「シンボル」のようなイメージがないのも原の特徴でしょう。 その、どちらかというと玄人受けする原の業績を、一般の人にもうまく伝わるように書いてあるのがこの評伝の特色であり、権力志向の人物と思われがちな原について、当時の時代状況をうまく説明することで、その理想や原を後押ししたものがわかるような構成になっています。 著者は同じ中公新書の『近代日本の官僚』でも膨大な情報量を読みやすい文にうまく落とし込んでいましたが、本書も詰まった内容ながら読みやすいです。 個人的に原敬というとテツオ・ナジタ『原敬―政治技術の巨匠』のイメージが強いのですが、それに比べるとこちらは「明るい」原敬を描いていると思います、 目次は以下の通り。第1章 明治維新後の新時代―激変のなかを生きる第2章 興隆期の官界中枢へ―建設と発展のために第3章 政界再編、政治への参画―立憲政治の始動第4章 政権への接近―桂園体制の七年間第5章 大正デモクラシーの時代―政界トップへの道第6章 近代日本の政党政治確立へ―第一次世界大戦後おわりに―原敬が遺したもの 原敬は1856年に南部藩の家老格に家に次男として生まれています。原が9歳のときに父が亡くなり原家は困難に見舞われますが、それ以上に大きかったのが戊辰戦争のおける南部藩の敗北でした。 こうした中で、盛岡でも秀才と呼ばれていた原は15歳のときに勉強のために東京へと向かいます。その後、東京から一時盛岡に帰った原は名前を健次郎から敬

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