橋迫瑞穂『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』(集英社新書) 8点

書評総合
 細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』を見た人の中には、いくら夫がおおかみおとこだとはいえ、花が出産・子育てに対して頑なに外部の干渉を排除していたことに引っかかった人もいるかもしれません。 あるいは、子どもには生まれる前の記憶である「胎内記憶」があって、子どもが親を選んで生まれていくるという話に「何それ?」と思った人もいるでしょう。 本書は、こうした妊娠・出産における「自然」志向や、そこに結びつく「スピリチュアリティ」の世界を紹介しつつ、それがどのようなロジックを持ち、なぜ受け入れられているのかを分析していきます。 帯には「フェミニズムの「落とし物」がここにある」との文句が書いてありますが、まさにフェミニズムとは違った形の「女性の世界」があると言えるかもしれません。 「スピリチュアリティ」というと「怪しい」と即断する人もいるでしょうが、著者は次のように述べています。 本書は「スピリチュアル市場」における妊娠・出産のコンテンツを批判的な観点に限定した形で取り上げることはしない。〜こうした女性向けのコンテンツを取り上げることは、時に女性たちを「無知な存在」とみなしてジャッジするような権力関係を発生させる可能性を孕んでいるからである。(11p) 著者は女性の社会学者ですが、適切な距離感で今まであまり検討されることのなかった問題をうまくすくい上げていると思います。 目次は以下の通り。第1章 妊娠・出産のスピリチュアリティとは何か第2章 「子宮系」とそのゆくえ第3章 神格化される子どもたち――「胎内記憶」と胎教第4章 「自然なお産」のスピリチュアリティ第5章 女性・「自然」・フェミニズ

リンク元

コメント

タイトルとURLをコピーしました