乳を刺す 黒門町伝七捕物帳

書評総合


・乳を刺す 黒門町伝七捕物帳
・邦枝完二
・青空文庫
 最近半七捕物帳をよく読んでいるが、これは半七でなく伝七。中村梅之助さん主演のテレビドラマを記憶している人も多いと思う。
 伝七親分の十手には紫の房が付いている。歴史に詳しい人なら、ここで「あれ?」と思うのではないか。そもそも岡っ引きの十手に房を付けることは認められていない。ましてや紫の房など、普通は、岡っ引きの雇い主である同心を飛び越え、与力にしか許されないものである。
 これは、伝七の雇い主は奉行(遠山の金さん)であり、特例として与力なみの権限が与えられているという設定だからだ。もちろん、身分にうるさい江戸時代のこと、実際にはこんなことはなかっただろうが、あくまで、フィクションとして楽しめばいいと思う。
さて、物語の方だが、大奥に勤めている伊吹屋の娘お由利が、実家に宿退りをしている時、何者かに殺害される。タイトルの「乳を刺す」というのは、お由利が、乳房の下を心臓まで達するように一突きで殺されたことによる。これを解決するのが伝七親分という訳だ。そして解き明かされるのは、ただただ悲劇といってよいだろう。


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