『ヴィクトリア朝 病が変えた美と歴史:肺結核がもたらした美、文学、ファッション』(原書房) – 著者: キャロリン・A・デイ – 桐谷 知未による後書き

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『ヴィクトリア朝 病が変えた美と歴史:肺結核がもたらした美、文学、ファッション』(原書房)著者:キャロリン・A・デイ
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新型コロナウィルスの蔓延で、いまやマスクは私たちの生活に欠かせない存在となった。ファッション雑誌では、マスクと服の組み合わせを提案するマスク・コーディネートまで特集されている。歴史を振り返ってみれば、感染症とファッションが結びつくことは珍しくないようだ。19世紀英国で、ペストや天然痘よりも肺結核が人々を苦しめたときも、やはり新しいファッション文化が誕生していた。しかもそれはかなり奇妙な美の価値観を生み出したようで、人々は肺病患者の真似をしようと、有害な白粉を使い躍起になって青白い肌を再現したり、瞳孔を開くために危険な点眼薬を使用してみたり、コルセットで締め上げて痩せ細ったふりをしたりした(そのせいで若いオシャレな女性たちが本当に病気になった)。上流階級では肺結核にかかること自体がステータスとなり、かのナイチンゲールまで結核を称賛したという。なぜ当時の人々はこれほどまでに肺結核に「熱狂」したのか。その不可解な美と病の歴史を豊富な図版資料とともにたどる『ヴィクトリア朝 病が変えた美と歴史』の「訳者あとがき」を抜粋して公開します。 
結核は過去の病気ではない
結核という病気の名前なら、誰でも耳にしたことがあるだろう。日本では、ほとんどの人が子どものころに予防接種(BCGワクチン)を受ける。そのおかげもあって、結核が日本の死亡原因の第1位だったのは遠い昔のことになり、多くの人にとっては過去の病気というイメージ

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