『現代民主主義 思想と歴史』(講談社) – 著者: 権左 武志 – 本村 凌二による書評

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『現代民主主義 思想と歴史』(講談社)著者:権左 武志
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民主主義が独裁を生む危険
孔子の言葉に「吾(わ)れ未(いま)だ徳を好むこと色を好むが如くする者を見ざるなり」がある。言いかえれば「最善のものでも最愛のものにはかなわない」ということだろう。われわれ現代人は、民主主義は最善のものだ、と思ってきた。だが、今世紀になった頃から、はたしてそうだろうかという疑念も禁じえない。その蟠(わだかま)りに、政治思想史の専門家が考え方の道筋を示唆してくれるのが本書である。フランス革命を推進したルソーの弟子たちは、人民が自己支配する純粋な民主主義を考えていた。それが現実にありえたのかと問えば、民主主義の運動や制度の根底にある思想の可能性にまでさかのぼる必要がある。それとともに、近代革命の所産としてのナショナリズムに対して、民主主義はどのような形で結びつき、相互に左右し合い、ときには危機を高めるのだろうかという深刻な問題がある。というのも、歴史をふりかえれば、民主主義を求める運動は、自由主義の目標と結びつくよりもナショナリズム運動の力を解放しやすく、ついには独裁を助長するという事例がしばしば見られる。これは民主主義のパラドクスであり、ナポレオンの独裁はその最初の事例である。このために、英仏の自由主義者J・S・ミルとトクヴィルは、純粋民主主義の思想を批判して、議会制民主主義に修正した。だが、米国型大統領制を導入した第二共和政の仏国では、ナポレオン三世の独裁を招く皮肉な結果になった。さらに、国民国家の創立、自由主義市民層の成長、国際労働者運動の高まり

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