『ジジイの片づけ』(集英社クリエイティブ) – 著者: 沢野 ひとし – 平松 洋子による書評

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『ジジイの片づけ』(集英社クリエイティブ)著者:沢野 ひとし
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物を減らすだけではない 絶えず世界を活性化する営み
全編、キラーワード満載。たとえば服について。
いつもハイキングに行くような服を着ていると、生活にめりはりがなくなり、最後には訳がわからなくなって寝間着かジャージ姿で町を徘徊しださないとも限らない。
タンスは人生の鏡である。(中略)下着の上下、靴下、ハンカチ類、シャツ、セーターは四季に合わせすべての品物は四枚が限界と思えば、服の氾濫や土砂崩れは起きないはずだ。
御意。とはいえ、理解に現実が追いつかないところに、片づけの沼がある。1944年生まれ、七十代後半の著者は自身の経験や思考を投入、家も頭も身体も爽快な方向へにじり寄ろうと奮闘中だ。この人生の沼に正面から挑む男性、とりわけ「ジジイ」は稀少な存在である。沢野さんの片づけは毎朝五時過ぎに始まる。早朝十分間、台所の食器やら玄関の靴やら、散らばったものを本来の場所に戻しながら心身のストレッチ。窓を開けて朝の風を入れて良い気を取り入れ、「ジジイはとにかくひがみやすい」から、気分が滅入れば迷わず窓拭き。引き出しは収納場所にアラズと心得、一段めは空っぽ状態をキープ。翌日必要な診察券とか老眼鏡を用意したり、外から帰ったら領収書や財布、時計、ときに未整理の切り抜きや本。この空白の一段を「知性の箱」と名づける気迫に感じ入る。本もCDも生ものだから、好奇心を刺激されなくなったら即刻処分。薬箱も、箱は捨てて中身だけ入れ、スカスカに。
「人の生活とともに必要なものが動き、生きた状態にする

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