『Piano man ピアニスト大井健 フォトブック』(集英社) – 著者: 大井 健 – 大井 健による後書き

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『Piano man ピアニスト大井健 フォトブック』(集英社)著者:大井 健
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ピアノの貴公子、大井健。注目のピアニストが語る音楽の魅力と魔力
ピアニストという生業がある。コンサートホールでのステージに上がれば、もうそこに自分以外の場をマネージメントするものは存在せず、あるのは真新しいコンサートグランドピアノだけである。究極の自己責任。そこには言葉で言い尽くせぬプレッシャーと、カタルシスと、恍惚がある。コンサートにスケープゴートは存在せず、あるのは自分の指先から紡がれる音たちのみ。たとえ自分の演奏に満足しても、聴衆と意見が一致するとは限らない。答えのない歩みの軌跡。究極の孤独と究極の共感。それがピアニストという職業である。ウラディーミル・ホロヴィッツは晩年、来日した際に「ひび割れた骨董品」と評された。過去の栄光が一夜で覆る、その儚さ。グレン・グールドは、そのプレッシャーと見世物小屋的性格に疑問を呈し、コンサート・ドロップアウトを宣言。五〇年の生涯の実に半分もの時間をスタジオで過ごし、コンサートの現場に戻ることはなかった。スヴャトスラフ・リヒテルはその人生の幕を下ろすまでステージに立ち続けた。肌身離さず持ち歩いた手帳には、足りない練習時間が細かく記載されていたという。ピアノの魔力に魅せられたあまたの猛者たち。ダビデのように引き締まったテクニック、セイレーンのように怪しげな魅力に満ちた表現力。彼らが人生を削り、曲に恋焦がれ、自身のすべてを捧げる演奏の数々。それがレコードであり、CDであり、昨今のYouTubeに散らばる動画であり、

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