『移り棲む美術―ジャポニスム、コラン、日本近代洋画―』(名古屋大学出版会) – 著者: 三浦 篤 – 三浦 篤による本文抜粋

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『移り棲む美術―ジャポニスム、コラン、日本近代洋画―』(名古屋大学出版会)著者:三浦 篤
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ラファエル・コラン(1850~1916)という名の画家をご存じだろうか。あの黒田清輝が師と仰ぎ、フランスへ留学した多くの日本人画家たちとの間に深い絆を結んだ人物だ。近年、ようやく再評価が進められている。19世紀後半から20世紀にかけて、相互に「影響」を与え合っていた日本美術と西洋美術。美術史家・三浦篤の最新刊『移り棲む美術』を手がかりに、この豊かな交流の歴史を旅してみよう。以下、本書の「序章」抜粋を特別公開する。
洋画家・黒田清輝らを開花させた、日本とフランスの濃密な美術交流
先生は花ものを非常に好かれて、始めの別荘は庭があつても、これに栽培するほどの広さではなかつたので、其外に千坪ばかりの地面を借りて、そこでは専ら花ものを栽培された。温室は可成のものが二つあつて、主に蘭科植物を栽培されて居た。日本の、例へば牡丹とか百合とかも取寄せられた事もあつた。先生の庭で最も綺麗であつた花で、記憶に残つて居るのは石楠花であつた。種類も多くあつて非常に美しい花を見ることがあつた。一九〇〇年即ち明治三十三年に行つた時などは、この庭の一隅に小高い丘があり、その上に亭のやうのものがあつて、そこで先生の母堂――その頃未だ存命であつて八十歳位であつたらう――などゝ写真を写したこともあつた。そして賑やかな楽しい食事の饗応を受けた。黒田清輝「コラン先生の追憶談」『美術新報』第16巻第2号、1916(大正5)年12月22日
明治を代表する洋画家黒田清輝が恩師ラファエル

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