現代詩文庫「辻征夫詩集」より、作品論・詩人論を読む

小説の書評と感想
 思潮社の現代詩文庫78「辻征夫詩集」より、末尾の作品論・詩人論を読み了える。 先行する、評論・自伝は、今月9日の記事にアップした。 この本の了いの紹介なので、表紙写真を再度アップする。 理論的な批評は、取りこぼす部分があり、作者の創作心を枯れさせるものである。辻征夫は2000年に亡くなったが、この本の初版が出版された1982年には、活躍中だった。 詩人・野沢啓が作品論「現代的抒情の根源へ」を寄せている。辻征夫の初期の詩の演技性と照れの感覚を指摘するが、詩集「隅田川まで」ではリアルな認識力と確固とした表現意識を獲得したと賞賛する。事物の本質を一挙に開示する、とも。詩集「落日」以後、現代的抒情の極限(抒情の不可能性として現れる)を歩むと結ぶ。 詩人論として、清水哲男の「辻クンのジャックナイフ」と、井川博年の「辻征夫の手紙」がある。詩人・清水哲男は少し年少の辻征夫を、辻サンではなく辻クンと呼ぶようになった経緯と、「せつなさ」そのものの辻征夫は自分のヤクザな生き方を思わせる、と搦め手から論じている。 友人の井川博年は、かつて辻征夫と交わした熱い書簡を公開した。作品を認め合い、詩論や生活を語り合う、詩人仲間は好いものだ。  

Source: 小説

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