『世界のひきこもり 地下茎コスモポリタニズムの出現』(寿郎社) – 著者: ぼそっと池井多 – 武田 砂鉄による書評

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『世界のひきこもり 地下茎コスモポリタニズムの出現』(寿郎社)著者:ぼそっと池井多
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閉じた空間で語られる開かれた言葉による連帯
その当人を知らないのに、イメージだけが積み重なっていく状態って危うい。「ひきこもり」も、そのひとつだろう。35年もの間、ひきこもり生活を続けてきた著者は、自らを分析対象にしてくる専門家を警戒する。彼らは決して「自分と同じ人生や生活の地平に生きている者ではなかった」からだ。世界各国のひきこもりと交流すべく「世界ひきこもり機構」を創設し、「ふつうの人」はもちろん、「家の中で生活している他の家族たち」さえも知らないネットワークが世界中に広がっていく。国も家族も会社も帰属意識が薄まっていく世の中にあって、ひきこもりという属性は、「素早く対等に通じ合えてしまう」のだ。世界各国のひきこもりと対話を重ねていく。行政の制度の違いを語り合えば、一日じゅうパソコンの前に座っているので背中が痛いと漏らし、仕事を探す方法をシェアしたかと思えば、抱えていた性的虐待の記憶を語り始める人もいた。閉じた空間に開かれた言葉が投じられることによって、その地下茎はつながりを強固にしていく。ひきこもりは、とにかく他者から語られる存在である。間接的な語りによって、私たちは直接的に把握した気になる。インタビュアーが「あなたは働きたいですか」と質問すれば、たとえ「働けるけど働かない」と思っていたとしても、「働きたいけど働けない」とお茶を濁すかもしれない。当事者からの言葉を都合よくつなぎ合わせて、「これは社会の問題だ」「政治が悪い」と落とし込んでい

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