『遺言未満、』(集英社) – 著者: 椎名 誠 – 集英社 学芸部によるインタビュー

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『遺言未満、』(集英社)著者:椎名 誠
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無になることに憧れ
作家、カメラマン、映画監督、冒険家…。若い頃から幅広い分野で活躍してきた。そんなエネルギッシュな自由人が、七十代後半になり、どんな最期を迎えたいと願うのか。新著では、旅や読書で知った異国の葬送文化と日本の現状を対比させながら、今の自分が選んだ〝身じまい〟の方法を、具体的に示してみせた。八年前、死をテーマにしたエッセー集『ぼくがいま、死について思うこと』(新潮社)を出版した。その続きといえる雑誌連載をまとめ、コロナ禍への思いをつづった書き下ろしも収めた。大勢の死者の遺骨で作られた仏像、葬儀業界の見本市、イスラム教のモスク、ハイテク納骨堂など、取材先は多岐にわたる。結婚式と同じようにプロがテキパキと進める葬式や、土に還(かえ)らない墓石をシンボルにする埋葬など、形式的で人工的な日本式の弔いに、昔から疑問を持っていた。できれば近しい人だけで心のこもったお別れをし、自然に戻りたい。その気持ちは、思い出深い八丈島での海洋散骨という答えにたどり着く。「死後の大きな方針として目指すのは『行方不明』。遺(のこ)された人に迷惑を掛けたくないから」多才でさまざまな顔がある。本来の姿はどれか問うと、意外にも「理想の自分はよき父、よき夫。周りに喜ばれる善良な家庭人でありたい」とのこと。その思いと裏腹に、かつては世界を飛び回り、何カ月も消息不明にしたことがあった。「連れ合いに寂しい思いをさせたこと、今は後悔してます。でも、かわいい孫もいて恵まれた人生になった」としみじみ振り返る。

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