『家族の命運―イングランド中産階級の男と女 1780~1850―』(名古屋大学出版会) – 著者: L・ダヴィドフ,C・ホール – 野々村 淑子による書評

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『家族の命運―イングランド中産階級の男と女 1780~1850―』(名古屋大学出版会)著者:L・ダヴィドフ,C・ホール
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中産階級男性の生き方の内実を暴く家族、子ども、ジェンダーに関する古典的研究として評価の高い書
「ひとかどの人物」となる、つまり富や権力や影響力を根拠に独立した個人として認められようとした中産階級の男性が、現実にはいかに立身出世を支える家族や女性による支援のネットワークのなかに組み込まれていたか、ということを示すこと。これが、プロローグに書かれた、本書の目的である。これは、今現在に置き換えてもほぼ通じる話ではないだろうか。それだけ、近代資本主義社会が、性別領域分離主義を前提とした家族を単位として強固にその根幹をつくりあげたことを、改めて確認できるだろう。18世紀末から19世紀中葉にかけてのイングランドの家族、子ども、ジェンダーに関する古典的研究として評価の高い本書は、1987年の初版以降、数多くの後発の研究によって参照され、研究者(の卵)たちがこの書に学んだ。イギリス女性史の代表的研究者、本書の主翻訳者である山口みどり氏の研究がこの書から始まっていること(あとがきより)からも、この本の影響力の大きさがわかるだろう。私ごとだが、原書を手に苦戦していた学生が、翻訳書が出版されたことを知ったらさぞ驚くと思う。中産階級男性の生き方の内実を暴く、という本書の挑戦は、同時期にムーブメントとなった女性史研究、家族史研究と少し趣の異なるものとして評価されてきたようだ。それは著者自身によっても語られている通りである(原著第二版に

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