『「線」の思考』(新潮社) – 著者: 原 武史 – 武田 砂鉄による書評

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『「線」の思考』(新潮社)著者:原 武史
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乗って歩いて歴史を掘り起こす
ある地点と別の地点を結ぶ鉄道には、始まりの理由がある。その理由は、経年によって変化し、時に意味そのものが眠りこける。鉄路にひっつくように開発された街が連なる中で「線」の特性が消失し、象徴的ないくつかの「点」が一つの路線を背負うようになる。今、改めて「『点』と『点』を結ぶことで『線』が成立する」との視点で鉄路の意義を問う一冊が、なぜそこに「線」が引かれたのか、根源を掘り起こす。乗り、歩き、語り、記す。サブタイトルにもあるように、新宗教やカトリックの足跡、鉄道での移動を続けた近現代の皇室の姿を見つけ出す。「線」は、「時には数百年という時間を超え、幾条もの帯となって流れる水脈を探り当てる」のだ。「常磐」には「ときわ」と「じょうばん」という二つの読み方がある。常陸と磐城を組み合わせたのが「じょうばん」だが、「ときわ」は古代にまで遡ることができた。沿線には多くの鉱山、炭鉱があり、火力発電所や原子力発電所が並び、首都圏にエネルギーを供給する役割を果たしてきた。平成の終焉と常磐線の復旧を「常に変わらない岩」として重ね合わせていく。「房総三浦環状線」の章では、日蓮の歩みを鉄路に重ねた。旭川では、「線」の消えた街から、陸軍第七師団の痕跡を捜してみせる。車窓から思索を得て、その場での探索と、残された史料で編み上げていく。本書の取材は「現上皇が退位して平成が終わり、現天皇が即位して令和が始まる前後」に行われた。旅の始まりと終わりが「カトリックと皇室の関係」を探る構成となったこと

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