『転生するイコン―ルネサンス末期シエナ絵画と政治・宗教抗争―』(名古屋大学出版会) – 著者: 松原 知生 – 松原 知生による自著解説

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『転生するイコン―ルネサンス末期シエナ絵画と政治・宗教抗争―』(名古屋大学出版会)著者:松原 知生
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『物数寄考――骨董と葛藤』(平凡社、2014年)などの著作で知られる美術史家・松原知生氏が、今年、『転生するイコン――ルネサンス末期シエナ絵画と政治・宗教抗争』を刊行しました。シエナ派絵画の知られざる魅力の数々を紹介するとともに、従来のイメージを刷新する本作のみどころとは。以下、書き下ろしの自著紹介を公開します。
繊細優美なシエナ派絵画、その裡に秘められたダイナミズムを解き放つ
ポスト/プレ近代における古物との対話
グローバルなアートワールドや建築界の「スター」と目される現代日本の作家たちには、古い作品とその素材感から新たな滋養を得ようとする者が少なくない。ニューヨークで古美術商を営んだ経験をもつ杉本博司は、写真や建築を骨董品と融合したハイブリッドな作品世界を切り拓く。いまやナショナルアーキテクトと目される隈研吾は、とりわけ地方で手がけた初期作品において、地元の古い建築に寄り添うかのように、石や和紙や日干しレンガなど、土地古来の素材を頻繁に用いている。生ぬるく通俗化した温故知新とは区別される、共感と緊張感をはらんだ古物との協働=競合の背後に、モダニズム特有の発展的な歴史観・時間観から距離をとろうとする、ポスト近代の心性がみてとれることは、いうまでもないだろう。近世初期すなわちプレ近代のイタリア美術においても、類似した現象を認めることができるといえば、意外に響くかもしれない。16世紀、ラファエッロやミケランジェロの登場とともに、ル

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