田中拓道『リベラルとは何か』(中公新書) 6点

書評総合
 政治の世界でよく使われる「リベラル」という言葉ですが、では一体何を指すのかと言うと、意外と難しいのものがあります。「リベラル」の辞書的な意味は「自由な」、「自由主義の」、あるいは「寛大な」といったものになりますが、日本ではいわゆる左派が「リベラル」を名乗ることも多い一方で、自由民主党の英語名は「Liberal Democratic Party」です。 こうした「リベラル」という言葉をめぐる混乱を歴史的経緯を踏まえて整理しつつ、リベラルという思想の可能性や、あるべきリベラルの政策を探った本になります。 本書の特徴は、百花繚乱という形の「リベラル」という言葉の使われ方を一定の範囲で限定しながら論じている点で、それが例えば吉田徹『アフター・リベラル』(講談社現代新書)に比べたときに、わかりやすさを生んでいます。 ただし、個人的にはそのわかりやすい整理の中で切り落とされたものもあるのではないかと感じました。 目次は以下の通り。第1章 自由放任主義からリベラルへ第2章 新自由主義vs.文化的リベラル第3章 グローバル化とワークフェア競争国家第4章 現代リベラルの可能性第5章 排外主義ポピュリズムの挑戦第6章 日本のリベラル―日本のリベラルをどうとらえるか終章 リベラルのゆくえ まず、本書の特徴は冒頭で「現代のリベラルとは「価値の多元性を前提として、すべての個人が自分の生き方を自由に選択でき、人生の目標を自由に追求できる機会を保障するために、国家が一定の再分配を行うべきだと考える政治思想と立場」(i p)と明確な定義を与えている点です。 これによって古典的な自由主義の系譜や、バーリンの「

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