『鳥獣戯画を読む』(名古屋大学出版会) – 著者: 伊藤 大輔 – 伊藤 大輔による前書き

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『鳥獣戯画を読む』(名古屋大学出版会)著者:伊藤 大輔
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日本美術史上の「四大絵巻」の一つにも数えられる「鳥獣戯画(鳥獣人物戯画)」。擬人化された猿・兎・蛙……人々を惹き付けてやまないあの絵巻には、いったい何が描かれているのでしょうか?『肖像画の時代』などの著作で知られる美術史家・伊藤大輔氏による『鳥獣戯画を読む』がこのたび刊行されました。以下、本書の「はじめに」全文を特別に公開いたします。
謎多き国宝絵巻、全四巻をどう読み解く?
「鳥獣戯画」は謎の絵巻と言われている。誰が、いつ、どこで、何のために作ったのか分からない。また、何を描いているのかも分からない。一番有名な甲巻では、一見、動物たちが心明るく遊びを楽しんでいるように見えるが、しかし、猿との争いの結果、蛙が昏倒していたりする。模本にまで目をやれば、最後には蛇が出現して、楽しいはずの世界は破綻に追い込まれてしまっている。遊びの楽しさがないとは言わないが、蛙の昏倒はもとより、相撲の取り組みで蛙が兎の耳にかみついていたりするのを見ると、自然ならではの殺伐とした暴力性の香りもそこはかとなく漂っているようである。さらに甲巻だけでなく、乙巻・丙巻・丁巻のそれぞれが何を語っているのかも不明であり、全四巻が連作として相互に連携し合って一つの体系を構築しているのかも分からない。要するに、制作事情など作品を外から支えるコンテクストについても、またテクスト内部の読み取りに関しても、確かなことは分からないのである。従って、「鳥獣戯画」を理解するためには、関連がありそう

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