辻征夫・詩集「落日」を読む

小説の書評と感想
 思潮社の現代詩文庫78「辻征夫詩集」より、第4詩集「落日」全篇を読み了える。 先行する詩集「隅田川まで」は、今月8日の記事にアップした。
 「落日」には、16編の作品を収める。 表題作の「落日ー対話篇」では、恋の成就が描かれるようだ。しかし家庭を持ち、子供が生まれると、詩人は現実に目覚める。 「子守唄の成立」では、冒頭「お部屋の中が/暗いからといってそんなに泣かれると困ってしまう」と幼児をあやしかねる。 「鳩」ではカメラを買えなくて、現実逃避する。 「睡眠」では、「くらしが/夢のように/なってから/夢はほとんど/みなくなった」と、現実感のない生活を描く。 「童話の勉強」には、詩作では生活できない現実が、突き詰められる。 「ライオン」では、「歩き疲れてお酒をのんで/駅前広場で途方に暮れてる/いまのぼくがかなしくなって/思わずライオンのあたまをかかえて/泣いてしまった」と、生活無能力ぶりを表す。 しかし掉尾のもう1編の表題作「落日ーおはなし篇」では、「せなかに/燃えるおひさまを/もってるおとこは」と、詩人の自恃に生きようとする。写真ACより、「ウィンターアイコン」の1枚。

Source: 小説

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