『芭蕉集 自筆本・鯉屋物』(八木書店古書出版部) – 著者: – 大橋 正叔による自著解説

書評総合

『芭蕉集 自筆本・鯉屋物』(八木書店古書出版部)
芭蕉の高弟で後援者でもあった杉山杉風(さんぷう)の家に代々伝わった芭蕉関連資料は、杉山家の屋号から「鯉屋物」と称され、稀有な芭蕉真蹟(自筆資料)コレクションとなっている。その全貌を伝えるオールカラー版『芭蕉集 自筆本・鯉屋物』の解題を抜粋公開。
松尾芭蕉自筆の名品コレクション!「鯉屋物(こいやもの)」とは何か?
はじめに
本書『芭蕉集 自筆本・鯉屋物』は、天理大学附属天理図書館(以下、天理図書館)綿屋文庫が収蔵する「奥の細道行脚之図」、芭蕉自筆本六点、および、江戸下りした松尾芭蕉(正保元年[一六四四]~元禄七年[一六九四])の最古参の弟子であり、良き後援者でもあった杉山杉風(通称、鯉屋市兵衛)が蒐集し、代々が家蔵してきた芭蕉・杉風関係俳諧資料三十五点と参考資料一点とのカラー版影印集である。「鯉屋」は徳川幕府の御納屋鯉御用であった杉山家の屋号で、杉風は鯉屋二代目である。五代目の時家業を煙草商に転業し磯屋と屋号を変えるが、七代目が元の鯉屋市兵衛に改めている。「鯉屋物」の呼称は家蔵遺墨一括譲渡を機に全資料の総称として用いられている。「鯉屋物」三十五点が一挙に公開されるのは昭和五年刊『蕉影余韻』(伊藤松宇編)以来のことであり、精細なカラー版による刊行は初めてである。所載作品の紹介の前に綿屋文庫(わたやぶんこ)、および、「鯉屋物」について簡略な説明を記しておく。 
綿屋文庫と鯉屋物
「綿屋」は天理図書館創設者である天理教二代真柱中山正善氏、中山家の屋号である。当初は中山家の私的文庫として綿屋文庫が設けられたが、連歌俳諧関係を

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