『海のロシア史―ユーラシア帝国の海運と世界経済―』(名古屋大学出版会) – 著者: 左近 幸村 – 左近 幸村による本文抜粋

書評総合

『海のロシア史―ユーラシア帝国の海運と世界経済―』(名古屋大学出版会) 著者:左近 幸村
広大な領土を誇ったロシア帝国。「陸の帝国」というイメージが強いが、このたび刊行された『海のロシア史』ではその海運の歴史に着目し、これまでほとんど光が当てられてこなかったもう一つの姿を描き出している。いわゆるグローバルヒストリーにもつながる、世界的にもめずらしい本書の試みを、本文から一部抜粋してご紹介する。
「陸の帝国」史観を超え、ロシア史をグローバルヒストリーに位置づける
本書が描く歴史像は、ある観点からは斬新に見えるだろう。本書の挑戦は、世界的に見てもまれなものである。しかし問題意識や研究手法の点から見ると、本書のような研究はありふれている。日本国内に限っても、類書はあまたある。本書が斬新に見えるとすれば、それは、ロシアの海運の歴史に着目しているからである。逆に、ありふれているように見えるとすれば、本書がいわゆるグローバルヒストリーや帝国論の一環をなしているからである。グローバルヒストリーとして想定されている研究の中身は論者によって異なり、その定義は必ずしも明確ではない。だが、T・ロイとG・リエロの編集により2019年に刊行された『グローバル経済史』は、グローバルヒストリーと呼ばれている研究が主にどのような問題に取り組んでいるのか、理解する手がかりになる。同書は、三つのパートに分けられており、第一部が「グローバルヒストリーにおける分岐」、第二部が「世界経済の出現」、第三部が「グローバルな経済的変化への地域的視点」となっている。本書の問題意識は、主に第三部のテーマに属するものであり、第二

リンク元

コメント

タイトルとURLをコピーしました