景山民夫「ハイランド幻想」を読む

小説の書評と感想
 景山民夫の短編小説集「ハイランド幻想」を読む。 ブログ「風の庫」「サスケの本棚」に共に記事がないので、初めての作家だろう。 中公文庫、1997年・刊、250ページ。 景山民夫(かげやま・たみお、1947年~1998年、享年50歳)は、放送作家として大成功のあと、小説家に移った。 「ハイランド幻想」には、10編の短編小説を収める。 苦難を越えてハッピーエンドのストーリーの中に、特異な「狸の汽車」が挟まる。狸の古老・権兵衛が、後輩たちの目の前で、日本最初の汽車と化け物対決し、あっけなく敗死する結末である。狸が人を化かす自慢話は、創作の手の内を明かすようだ。汽車が何の比喩か分からない。科学文明を指すのではないだろう。 表題作「ハイランド幻想」は、日本からネス湖のネッシーを探りに行くストーリーである。ゆるゆると旅を楽しむが、ベンチより夜のネス湖に大きな黒い影が横切っても、ウィスキーの瓶と共にホテルへ戻ってしまう。すべてのフィクションが空しい、というように。

Source: 小説

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