園田茂人『アジアの国民感情』(中公新書) 7点

書評総合
 近年はすぐに「親日/反日」といった言葉が使われますし、米中対立の激化によってアジアでも「その国はどちら側なのか?」といった具合に、ある国を二項対立で位置づけることはしばしばなされています。 しかし、当然ながらそんな単純ではないわけです。中国に対する警戒感には国によって随分ばらつきがありますし、他国に対する印象でも「関係が薄いから好印象」「関係が深いから印象が悪い」といったケースもあります。 本書は大規模な調査を通してアジアの国民感情を読み解こうとした本です。今までに行われたさまざまな国際的な世論調査の他に著者らが行った「アジア学生調査」を使うことでアジアのかなり広い地域の国民感情を明らかにしようとしています。 もちろん、「学生(大学生)」に対する調査のため、基本的にはエリートに近い人達の意識が現れている調査になっていますが、それでも国ごとの違いが様々な面に出ていますし、時系列的な変化もある程度追えます。現在と今後のアジア情勢を考える上で興味深い知見を与えてくれる内容です。 目次は以下の通り。序章 なぜ国民感情なのか―対外認識を可視化する第1章 台頭中国への錯綜する視線―何が評価を変えるのか第2章 ASEANの理想と現実―域内諸国への冷めた目第3章 東アジア間の心理的距離―厄介な近隣関係第4章 アジア各国・地域の特徴とは第5章 影の主人公アメリカ―米中摩擦とアジアの反応第6章 日本への視線―アジアからの評価、アジアへの目終章 国民感情のゆくえ 国際的な世論調査というと、アメリカのピュー・リサーチ・センターなどが行っていますが、アジアに関しては対象国も限られていますし、どうしても

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