『この不思議な地球で―世紀末SF傑作選』(紀伊國屋書店) – 著者: ウィリアム・ギブスン,パット・マーフィー,マシュー・ディケンズ,イアン・クリアーノ,ブルース・スターリング – 豊崎 由美による書評

書評総合

『この不思議な地球で―世紀末SF傑作選』(紀伊國屋書店) 著者:ウィリアム・ギブスン,パット・マーフィー,マシュー・ディケンズ,イアン・クリアーノ,ブルース・スターリング
「二十世紀は、SFの世紀だった。それは、SF的未来観によって巨大な科学技術文明を築くとともに、SF的想像力の浸透によって超微細な高度電脳文化を自然化させていく百年間だった」SF短編小説十作品が収められた本書の編者である巽孝之が、序文で述べているこの断言は、おそらく正しい。ジュール・ヴェルヌから引き渡された未来への想像力は、H・G・ウェルズを経て一九二六年アメリカで雑誌『アメージング・ストーリーズ』を生んだ。そして、この雑誌に育てられた作家たちの想像力は、五十年代に外宇宙(アウタースペース)へと向かい、SFは黄金期を迎える。が、六十年代に入って、SFはますますその想像力の深度を深めていった。内宇宙(インナースペース)、精神の領域にまで踏み込むことで。J・G・バラード、マイクル・ムアコック、フィリップ・K・ディック等、この時代は今も通用するカルト・ライターを輩出した時代でもあった。そして現代。ハードSF、フェミニズムSF、サイバーパンクと、世紀末にふさわしい百花繚乱ぶりを見せているのがSFというジャンルの “文学” なんである(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1996年)。SFは、常に現実に先行してきた。社会問題にまで発展しているハッカーの存在とて、八十年代初頭にウィリアム・ギブスンが『ニューロマンサー』(ハヤカワSF文庫)で描いた電脳空間(サイバースペース)に遊ぶハッカ

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