『下水道映画を探検する』(講談社) – 著者: 忠田 友幸 – 柳下 毅一郎による書評

書評総合

『下水道映画を探検する』(講談社) 著者:忠田 友幸
『第三の男』も『アリゲーター』も。映画は下水道だ!
人の数だけ映画の見方はある。評論家の仕事は、人がそれまで気づいていなかった新しい視点を提供することである。ならば誰にも真似できない真に独特な価値判断こそが評論家の存在意義だ。今年ナンバー1の映画評論本を紹介する(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2016年)。忠田友幸の『下水道映画を探検する』(星海社)こそ、今年最高の映画評論集である。忠田友幸は名古屋市下水道局の技師として、2015年に退職するまで40年間実直に勤めあげた下水道一筋の人である。その彼にはひとつの趣味があった。すなわち映画を観ては、そこに登場する下水道をチェックすることである。篤実な下水道研究の成果は雑誌『月刊下水道』に「スクリーンに映った下水道」という連載として発表された。それを本にまとめたのが本書である。まさかの下水道づくしの1冊だ。本書では、すべての映画は「下水道は登場するか?」「その下水道は正しいか?」この2点のみにおいて評価される。たとえば『第三の男』だとこうである。「映画史上に残る名作に下水管が登場するのは、実に幸運なことである。その一本によって、下水道の存在が、観た人々の記憶に確実に刻まれることになる」もちろん、ハリー・ライムが逃げ込む下水道のことである。「光と影で描かれる下水道をぜひ映画でご覧いただきたい」本書最大の読みどころは豊富な下水道知識だ。冒頭には「下水道の基礎知識」として「合流式と分流式」「マンホールと接続室」「ヒューム管、カラー、卵形管、矩形きょ」と辞書形式で項目が

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