春木育美『韓国社会の現在』(中公新書) 9点

書評総合
 帯には「隣国の苦悩は、日本の近未来だ」との言葉があります。人によっては「日本のほうが先に豊かになって先に高齢化しているんだから日本こそが韓国の近未来では?」と思うかもしれませんが、本書を読むと、良くも悪くも韓国が先に進んでいる部分があり、日本と似たような問題に、より厳しい形で直面していることがわかると思います。 0.92という先進国の中でも圧倒的に低い出生率、高齢者の貧困問題、ジェンダー・ギャップなど韓国はさまざまな問題を抱えていますが、同時に大胆な対策も取られています。ただし、その大胆な政策がうまくいくとは限らず、むしろ副作用に苦しんでいる面もあります。 本書はそんな韓国社会の取り組みを明らかにすることで、同時に同じような問題に直面する日本に対するヒントも与えてくれる内容になっています。韓国社会を知りたい人はもちろん、日本の少子化問題や教育問題、ジェンダー問題などに興味がある人が読んでも得るものは大きいでしょう。同じ中公新書で、非常に面白かった大西裕『先進国・韓国の憂鬱』と重なる部分もありますが、本書のほうがより間口が広い感じです。 目次は以下の通り。第1章 世界で突出する少子化―0.92ショックはなぜ第2章 貧困化、孤立化、ひとりの時代の到来第3章 デジタル先進国の明暗―最先端の試行錯誤第4章 国民総高学歴社会の憂鬱―「ヘル朝鮮」の実情第5章 韓国女性のいま―男尊女卑は変わるか終章 絶望的な格差と社会―若者の活路は まずは少子化です。韓国の出生率は2019年の時点で0.92というずば抜けた低さで、しかも急ピッチで少子高齢化が進んでいます。2020年の段階で人口の中で65歳

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