内藤正典『イスラームからヨーロッパをみる』(岩波新書) 6点

書評総合
 シリア内戦からの難民の大量流入、パリでの同時多発テロ事件、そして反イスラームを掲げるポピュリスト政党の台頭と、ヨーロッパにおけるイスラームというのは2010年代の大きな問題となってきました。そんな問題に対して長年ヨーロッパとイスラームの研究を行ってきた著者が分析した本になります。基本的にはムスリムからの視点を中心に、ヨーロッパにおける共生がいかに難しくなっているかということが書かれています。 ただし、5章立ての本で、第2章から第4章にかけては基本的にはイスラーム世界の動向を追うことに当てられており、「ヨーロッパ」に関する部分はタイトルから想像するよりは少ないかもしれません(もちろんトルコをどう捉えるかにもよりますが)。また、トルコに関する記述に関しては「エルドアン寄り」なので少し注意する必要もあるかと思います。 目次は以下の通り。序章 ヨーロッパのムスリム世界  1章 女性の被り物論争2章 シリア戦争と難民3章 トルコという存在在4章 イスラーム世界の混迷5章 なぜ共生できないのかおわりに 共生破綻への半世紀 ヨーロッパにどれくらいのムスリムがいるのかについて詳しいデータはありませんが、大雑把にドイツに500万人、フランスに500万人、イギリスに300万人、イタリアに250万人ほどがいるとみられています。3pの「図序−1」をみると人口比5〜10%ほどの国が多いですが、ムスリムは都市部に多く暮らしているために、都市部ではもっと多く感じるかもしれません。 そして忘れてはならないのがバルカン半島に多数のムスリムが暮らしているということです。コソボ92%、アルバニア82%、ボスニア・

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