『リヴァイアサンと空気ポンプ―ホッブズ、ボイル、実験的生活―』(名古屋大学出版会) – 著者: スティーヴン・シェイピン – 中野 安章による書評

書評総合

『リヴァイアサンと空気ポンプ―ホッブズ、ボイル、実験的生活―』(名古屋大学出版会) 著者:スティーヴン・シェイピン
現代における科学史研究の古典――「テクノロジー」によって巧みに管理される事実と仮説の境界線
本書は、1985年の刊行以来賛否両方向からの反響を喚起し、クーンの『科学革命の構造』以後最も影響力をもったとさえ評されてきた科学史研究である。原著刊行から30年余り経て、ようやく日本の一般読者に紹介される運びとなった本訳書は2011年の新版からの翻訳であり、これには初版執筆時に作用した文化的環境を回顧し、本書への批評を概観した長大な序文が付されている。本書は極めて豊富な論点を含み、限られた字数で満遍なく内容を紹介することは到底不可能である。各章の要約は第1章末尾にあるので、ここでは本書の中心的テーゼ、及び評者が関心を喚起された若干の事柄を述べることにしたい。1660年代に、イギリス王政復古体制が政治的安定を模索していた同じ頃、空気ポンプという新しく考案された実験装置が生み出す知識の正当性を巡って、ボイルとホッブズの間で論争が交わされた。自然認識の科学的方法を巡るこの局地的な論争に焦点を当て、著者シェイピンとシャッファーは、一見狭い知的世界の嵐に見えるこの論争が、実はそれを取り巻く政治的、社会的秩序の問題関心と緊密に結びついていたことを示そうとする。本書を貫く中心テーマは、「知識の問題に対する解決策は社会秩序の問題に対する解決策である」というものであり、したがって著者らは本書を、歴史的な事例研究を通した科学知識の社会学を実践する企てとして位置付ける。科学が制度化された今日で

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