『蒲公英草紙 常野物語』(集英社) – 著者: 恩田 陸 – 豊崎 由美による書評

書評総合

『蒲公英草紙―常野物語』(集英社) 著者:恩田 陸
うらやましい。恩田陸『光の帝国』(集英社文庫)をまだ読んでいない人が、うらやましくてならない。遠くの出来事を知る“遠耳”の力、未来を見通す“遠目”の力、厖大な書物や人々の記憶を自分の中に“しまう”力といった、不思議な能力をもつ常野一族をめぐる連作短篇集なんですけど、だまされたと思って読んでみて下さいまし。感謝感激雨あられを、わたしの頭上に降らせたくなること必定の、超オモシロ感動シリーズなんですから。いいなあ、これから読める人はっ(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2005年)。で、すでに『光の帝国』を読んでいて、続編を今か今かと八年間待ち望んでいた我が同志の皆さん、感涙にむせんで下さいまし。とうとう、ついに、ようやく、やっと、出たんです、常野シリーズのスピンオフ作品が!「僕、聡子様を『しまった』んだね?」この台詞に胸を熱くしちゃって下さいまし。『光の帝国』に収録されている「大きな引き出し」に出てきた春田家、そのご先祖様の登場に、どきどきしちゃって下さいまし。超ド級の感動が待ち受ける最終章まで、ノンストップで突っ走っちゃって下さいまし。そんな、全国推定一億三〇〇〇万人の常野シリーズファンを狂喜乱舞させている話題作のタイトルは『蒲公英草紙』。二〇世紀を迎えたばかりの明治時代、宮城県南部の長閑(のどか)な農村を治める旧家、槙村家に常野一族の春田一家が訪れるところから、この物語の幕はあきます。語り手は峰子。槙村家の末っ子で心臓の弱い聡子の遊び相手と

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