『トリプルA 小説 格付会社 上』(幻冬舎) – 著者: 黒木 亮 – 栗原 裕一郎による書評

書評総合

『トリプルA 小説 格付会社 上』(幻冬舎) 著者:黒木 亮
金融危機の全貌を鳥瞰して描く
2008年に起こった金融危機の原因は多岐にわたっていた。『タイム』誌が発表した「金融危機を引き起こした25人」は、住宅ローン会社CEOやFRB議長をはじめとする“戦犯”をズラリと並べた記事だが、10位には、格付会社スタンダード&プアーズ社の女性社長が置かれていた(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は2010年)。格付会社とは、債権や企業などの信用リスクを評価しランキングする民間企業である。本作タイトルの「トリプルA」はもっとも高い格付けを意味する。今回の金融危機は、高度な金融技術により組成されたCDO(債務担保証券)という証券化商品の連鎖的暴落が主因だった。サブプライムローンもその一種だ。サブプライムローンは、銀行などが低所得者に貸した住宅ローンを投資銀行に売り、投資銀行が複数の債権を束ねて証券化し投資家に売るという仕組みの、みんながハッピーになる魔法のような技術のはずだったがご存じの通り破綻した。債権を束ねるのはリスクを分散し低下させるためだが、数百とかの債権から成るCDOの見極めなどつくものではない。投資家は格付けを目安に投資をしていた。そして、本当なら投資不適格とされるべきCDOにまでトリプルAがつくような格付けがなされていたことが金融市場を極度に膨らませ、予想をはるかに越える規模の崩壊を呼び寄せたのである。つまり格付会社こそが金融危機の主犯だったともいえるわけだ。本作は、米系格付会社が日本に進出してきた80年代から金融危機後までの日米

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