『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』(家の光協会) – 著者: 小林 宙 – 平松 洋子による書評

書評総合

『タネの未来 僕が15歳でタネの会社を起業したわけ』(家の光協会) 著者:小林 宙
高校生がタネの保存に挑戦。「僕たちの生存戦略」なのだ
農林水産省が目指す種苗法改正案の成立が、今国会ではいったん見送られる気配が濃厚だ(六月八日現在)。野党共同会派や市民団体の反対、慎重論が大きく、SNS上でも抗議の声が高まっている。ずっともやもやしたままだ。今回の法改正の主軸は、タネの育成者の知的財産の「保護」、農家の自家増殖に関する「規制」、この二本柱。知的財産の権利保護はもちろん重要だが、いっぽう自家増殖についての規制は農家の権利を阻む可能性があり、しかし、当事者である農家の声が伝わっているとはいえず、実情を把握しないまま、議論は尽くされていない。すでに2018年、戦後から六十六年のあいだ国による米や麦、大豆の安定供給を義務づけてきた種子法が廃止され、現政府が民間の種子ビジネス参入を推し進める思惑が見え隠れする。タネの権利は、私たちの食料の主権の大もとだ。この原点が崩れれば食と農の将来を手放すことになってしまうのだから、タネから目が離せない。さて、話は18年2月にさかのぼる。高校受験に合格したばかりの十五歳の少年が、税務署に開業届を提出した。事業の内容は、日本各地を歩いて集めた伝統野菜のタネや自分で栽培した野菜の販売と流通。屋号は「鶴頸(かくけい)種苗流通プロモーション」、頭をひねって自分で考えた、ちょっと古風な名前だ。彼の名前は小林宙(そら)。小学生の頃から、ホームセンターで親に買ってもらったタネや苗を育てて収穫するうち、伝統野菜に出会う。特定の地域で栽培される固定種や在来種のタネは、

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